―「型にはめない関わり」が、スタッフの定着につながる―

2021年入社、関西フィールドサポート部 津川 洋子
趣味はベランダ菜園とカラオケ。子どもたちとカラオケに行くのが休日の楽しみで、
十八番はKiroroの「未来へ」や中島みゆきの「糸」
―津川さんのエントリーでの歩みを教えてください
最初はアルバイトとして点呼などのアシスタント業務から始まりました。スタッフさんとの会話が楽しくて、移動中なども積極的にコミュニケーションを取っていたんです。
そんな姿を見ていただいて、「もう一人アシスタントを増やすから、いい人を選んで」と任され、数人の優秀なメンバーを見つけたことがきっかけで、“津川軍団”と呼ばれるようになりました。そのうちに「本格的にやらないか」と声をかけてもらい、複数の現場で社員さんと一緒に応援にも入りました。
私は“1人現場”が多く、近くに社員さんがいない分、リーダーから遠隔で教わりながら自由に動ける環境でした。ダメなことはしっかり指摘されつつも、型にはめられずに自分らしさを出せたのが大きかったです。最初にガチガチに決められていたら、今の私はなかったと思います。自由にやらせてもらえたことが、“津川流”を育ててくれました。恵まれていたと、今でも思います。
―現場でスタッフさんと関わるときに、大切にしていることは何ですか?
やっぱり「相手を知ること」がすごく大事だと思っています。
作業のやり方ももちろん教えるんですが、やっぱり人間って向き不向きがあるじゃないですか。だから「この作業は得意そうだな」「ここはちょっと苦手そうだな」っていうのを見て、その人に合った教え方を考えるようにしていました。苦手だからダメ、じゃなくて、「どう苦手なんだろう?」「どうしたら苦手じゃなくなるかな?」と考えるんです。ちょっとしたアドバイスで苦手意識がなくなって、逆に良いところがもっと伸びることもあるので。
そうやって関わっていくうちに、そのスタッフさんが企業さまから「レギュラーで来てほしい」と言っていただけるようになったり、「エントリーの人って質が高いね」と評価していただけるようになったりする。そういう流れをつくっていきたいと思っていました。「できない」と思わせたくないんですよね。苦手なだけで、嫌いなわけじゃない。私も「これ無理」って思うことありますし(笑)。でも「苦手なだけだから、こうすればもっとできるようになるよ」っていう思考に切り替えてもらえると、その先にある“恐怖心”も和らぐんです。
経験を重ねて苦手を克服していくと、今度はその方自身が、次の人にやさしく教えてくれるようになる。だから「これは向いてない」とか「ダメだよ」なんて決めつける言葉は、絶対に使いたくないって、いつも思っていました。
―育成や関わり方について、ご自身の経験から影響を受けていることってありますか?
そうですね、多分それは「子育て」が土台にあるんだと思います。私、子どもが3人いまして、上の2人は年が近いんですけど、そこから18歳離れてもう一人産んでいるんですね。今、上の子は40歳近くて、下の子は20歳。だから、同じ「親子」でも、育てている時代が全く違うんです。
時代ごとの価値観や考え方って、子どもたちから教わることが多いんですよね。それが今のFDの仕事に、すごく活きていると感じています。
同じように育ててもうまくいかないこともあって、「世代によって伝え方や接し方を変えなきゃいけない」と日々感じています。Z世代と呼ばれる今の若い世代には、これまでと同じやり方では響かない。40〜50代の方に接するときと同じ調子でいくと、ズレが生じることもあります。
だからこそ、「この人はどんな人なんだろう?」「どう接するのが一番いいのかな?」と相手に合わせて向き合うことが大事だと実感しています。我が子であってもそれぞれ違う。だからこそ、スタッフさん一人ひとりとも、丁寧に向き合っていきたいと思っています。
―今のお話を聞いてすごく納得しました。ちなみに、津川さんの現場では、経験者の継続率が96.6%という驚異的な数字だと聞きました。秘訣はあるんですか?
特別なことはしていないつもりですが、強いて言えば「会話の続きをする」ことですね。
派遣って「今日だけのつもり」という方も多いので、最初はよそよそしいこともあります。でも私は顔を覚えるのが得意で、前に話した内容を思い出して、「この前○○って言ってたけど、どうなった?」と話しかけるようにしてるんです。そうやって会話が続くと、自然と「次いつ入ろうかな」っていう流れになるんですよね。
あと、まずはその人の得意な作業から始めてもらって、少しでもできたらしっかり褒めるようにしています。「自分、できるかも」と自信を持てるようになれば、苦手な作業にも挑戦できるし、残業も対応しやすくなる。そういう積み重ねが、継続率の高さにつながっているのかなと思います。
―なるほど。スマジョブなどで人を採用する際、「梱包」などの業務ごとに枠を分けて募集しているんですか? それとも、一括で募集して後から配置を決めているのでしょうか?
後者ですね。現場の状況は一日の中でも変わるので、最初から作業を固定せず、その時々の忙しさに応じて配置を調整しています。
まずは全員に一通りの業務を覚えてもらい、そのうえで「ここが終わったら帰ってOK」「残業できる人はこっちお願い」と、その日の流れに合わせて動いてもらうスタイルです。
最終的には、誰もがどの作業にも対応できるよう育てていく方針ですね。現場には梱包やピッキング、仕分けなど7〜8種類の作業がありますが、みんなが全部できるようになると、現場も活気づきます。

写真左:先輩FDの吉田(関西フィールドサポート部) 右:津川さん
―津川さんクラスになると、もはやリボン制度があるから成果が出るというよりも、そもそもご自身の力でリピート率や安定率を高めていらっしゃる印象があります。ただ、実際に制度が導入されてから、現場やスタッフの皆さんにポジティブな変化などはありましたか?
そうですね、やっぱりリボン制度を取り入れてからは、特に初回スタッフのリピート率がぐっと上がった実感があります。一回目、二回目までをしっかり抑えることができるようになったので、定着率がかなり高くなってきているんです。その中から、安定して入ってくださるようになって経験がぐっと上がったと言えます。
ただ、現場に入れる人の枠が限られていたり、案件数が少ないと、せっかくいい方でも入れないこともあるんです。だからこそ、初回の方をうまくタイミングを見て現場に入れていくことが大事なんですね。そのために、いつも入ってくれている経験者の方には申し訳ないんですけど、時には出勤を振替えてもらってでも、初回の方に現場経験を積んでもらう機会をつくるようにしています。
依頼が多いときに合わせて「今ならいける」というタイミングを見計らって初回の方を配置するんです。先方とも日程などをしっかりすり合わせて、「○日に入れたいと思っています」と連絡を取り合いながら、その初回を逃さず、緑リボンまで育てきる、というイメージですね。
最初の白リボンで終わりじゃなくて、「この人は緑まで行ってもらうぞ!」という意識で動いています。現場の状況や本人の様子を見ながら、ちゃんとタイミングを温めて、「ここだ!」という日にバンと入れる。そうやって一人ひとりにしっかり向き合って、緑リボンまで導く。そんな風にリボン制度を活用しています。
―そこから今この忙しい時期に、一気に白リボンのスタッフさんを増やして、近い日程でしっかり現場に入ってもらう…ということですか? すごいテクニックですね。
はい、振り分けています。その人の都合に合わせて、こちらの現場の人数感と照らしながら、うまくスケジュールを組んで入れていくんです。初回の方を一度に多く入れすぎて、先方から「育成に時間がかかりすぎる」と言われないように、バランスを見ながら調整しています。
─なるほど。スタッフさんの都合は、いくつか聞いておくんですか?
そうですね、複数パターン聞いています。それをパズルのようにはめ込んでいくイメージです。白リボンを渡す段階で、「ここまで頑張ってもらおう」と目標を決めていて、「次は緑リボンまでは行こうね」と声をかけながら進めています。
─すでに緑リボンのタイミングまで見据えて動いているわけですね。
はい、だいたい2回目、3回目までの予定を抑えています。2回目だけだとそこで切れてしまう可能性があるので、本人の希望も聞きながら、3回は入れるように日程を組んでいます。その中で、タイミングを見て柔軟に動かすようにしています。
―今後、このリボン制度をどのように活かしていきたいですか?リボン制度に関して、具体的な目標などはありますか?
現場によって状況は違うんですが、今の現場は繁忙期に入ろうとしているところです。
現在は閑散期と繁忙期が混ざっているので少し大変ですが、もうすぐ完全な繁忙期に入るので、そこで2週間だけでなく1ヶ月単位での稼働を目指せると思っています。リボン制度を使ってレベルアップできたら面白いな、と考えています。
―津川さんにとって、エントリーでのFDの仕事とは?ひと言で言うと何でしょうか?
仕事を通して、その人の幸せへと続く道を一緒に歩んでいくことです。共に歩みたいと思っています。

